三体.jpg地球文明と異星の三体文明の関わりを描くSF小説。2015年のヒューゴー賞(長編部門)をアジアで初めて受賞した話題作。宇宙との接触、地球文明の現在と未来、文革での知識人の悲惨さ等々を、巨大なスケールで縦横に描く。科学的な力業で押し切った意欲作だ。面白い。

軸となるのは中国人のエリート天体物理学者の葉文潔(文革で惨殺された理論物理学者・葉哲泰の娘)と、その約40年後のナノマテリアル開発者の汪淼(おうびょう)の2人。葉文潔は文革で失意の日々のなか、巨大パラボラアンテナを備える秘密の軍事基地にスカウトされる。そこでは、人類の運命に関わるプロジェクトが極秘で行われていたのだ。そして約40年後、世界的な科学者が次々と自殺していた。汪淼は、ある会議に招かれ、学術団体「科学フロンティア」の潜入を余儀なくされる。そこで三つの太陽を持つ異星を舞台にしたVRゲーム「三体」に入り、異様な感覚に驚く。そして、地球文明と三体文明との異次元と現実が交錯する。

系外惑星の存在と合流は、現実になると、夢ではなく、恐怖なのかも知れない。地球文明が制御のきかない「科学の進展」「欲望の増幅」のなかでどうなっていくのか。そうした根源的問いかけが、このSF小説の背景にある。「人類はいったい何をやっているのだろう。どこに向かっているのだろう」ということの問いかけだ。苦渋の果てに葉文潔らは「文明は、地球上の人類以外の生命を滅ぼし続けるだろう」「人類の文明は、もはや自力では矯正できない。三体文明に人類文明を矯正してもらう」などと問いを発するのだ。そして、地球文明と三体文明との交信が一瞬あるのだが・・・・・・。

プロフィール

太田あきひろ

太田あきひろ(昭宏)
昭和20年10月6日、愛知県生まれ。京都大学大学院修士課程修了、元国会担当政治記者、京大時代は相撲部主将。

93年に衆議院議員当選以来、衆議院予算委・商工委・建設委・議院運営委の各理事、教育改革国民会議オブザーバー等を歴任。前公明党代表、前党全国議員団会議議長、元国土交通大臣、元水循環政策担当大臣。

現在、党常任顧問。

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