ワイルドサイドをほっつき歩け.jpg「ハマータウンのおっさんたち」が副題。「ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー」では息子さんたち、フレッシュな少年たちの生きいきとした日常を描いたブレイディみかこさん。今度は、「人生の苦汁をたっぷり吸い過ぎてメンマのようになったおっさんたち」の日常、喜怒哀楽の日々を描く。英国の国民がいかにEU離脱(ブレグジット)の国民投票で揺れ動いたかが、くっきりと浮かび上がる。とくに「労働者階級のおっさん」の日常は激震に見舞われている。EU離脱派として「EUなんぞの言うなりになってグローバル資本主義を進めた政府がロンドンを外国人に明け渡した。俺らの国の主権はどうなってんだ」「移民が増えすぎて学校や病院がパンクしそうになっている」「英国は移民をコントロールできる主権を取り戻すべきだ」「2010年からの保守党の緊縮財政が、病院、学校、福祉、地域の図書館まで切り捨ててきた。経済成長のよき時代の若者だった"おじさん"たちが追い詰められている」「NHS(国民保険サービス)はもう福祉国家だった頃の英国の医療制度ではない。いまや福祉国家の縮小を体現しているのがNHSだが、英国の人々はNHSに執念にも似たほどの愛着をもっている。俺たちのNHSだ」「ブレグジットすればEUへの拠出金週3.5億万ポンド(約500億円)をNHSの資金として使える、という離脱派の流したデマが離脱派勝利の決定的な要因の一つになった」「俺はサッチャーにもグローバル資本主義にも負けたくねえし、加担したくもねえ」「ハマータウンのおっさん世代は今、社会に対して最後の抵抗をしているのかもしれない」・・・・・・。

英国のベビー・ブーマー世代(1946~1964)の"おっさん"は、「ブレグジット」「緊縮財政」「世代、階級の意識の違い」「社会の変容」のなかで、家庭、恋と離婚、仕事、趣味、社会等のあらゆる場面で右往左往させられているが、ブレイディみかこさんの描く"おっさん"は、たくましくて魅力にあふれている。愛すべき"おっさん"たちだ。

プロフィール

太田あきひろ

太田あきひろ(昭宏)
昭和20年10月6日、愛知県生まれ。京都大学大学院修士課程修了、元国会担当政治記者、京大時代は相撲部主将。

93年に衆議院議員当選以来、衆議院予算委・商工委・建設委・議院運営委の各理事、教育改革国民会議オブザーバー等を歴任。前公明党代表、前党全国議員団会議議長、元国土交通大臣、元水循環政策担当大臣。

現在、党常任顧問。

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