ひこばえ上.jpgひこばえ下.jpg万博に沸く1970年、主人公の長谷川洋一郎が小学校2年の時に家を出て行った父親の記憶はおぼろげだ。48年たった現在、高齢者施設の責任者を務め、結婚した娘が臨月を迎えている彼のもとに、ある日突然、その後全く接触のなかった父親の訃報が届く。意外にも父親・石井信也は洋一郎とそう遠くない土地に住み、一人暮らしを続けていたという。洋一郎は父の住んでいた部屋を訪ね、付き合いのあった人々に出会い、「父はどういう人生だったのか」と、父親の姿を探り当てようとする。再婚した母親、迷惑をかけた父親を悪しざまに言う姉・宏子、父と親しかったトラック仲間・神田や行きつけのスナックのママ・小雪、「自分史」を残そうと相談されていた西条真知子・・・・・・。話を聞くうちに迷惑をあちこちにかけたが、憎めない親父、寂しさを抱え続けた親父の姿が見えてくる。そして、父―息子―孫、理屈を越えた血縁をしみじみ感じるのだ。

「ひこばえ」――。太い木の幹を切って切り株を土台にして、「ひこばえ」がいくつも芽吹く。「娘や息子には会えない。あわせる顔がないってことだな。だが孫には会いたいって言っていた」「自分の蒔いた種が、子どもの代をへて、孫の代にまで続いてるっていうのが、いいじゃないか」「思い出を勝ち負けで分けたらいけん。・・・・・・ええことも悪いこともひっくるめてひとはひとなんよ。あんたらのお父さんは、世間さまに褒めてもらえるようなことはできんかった。あんまり幸せにはなれんかったかもしれん。・・・・・・でもあんたらが幸せになって、あんたらの子どもも孫も、みんな幸せになってくれればええんよ。それでお父さんも・・・・・・お父さんが生きて、この世におったことが報われるんよ」「苦労やら気兼ねやら、ぜーんぶひっくるめて、うちは幸せな人生じゃったよ」・・・・・・。「母は最後にあらためて父の遺骨に手を合わせた」「洋ちゃん、お父さんを連れて来てくれてありがとうな。あんたの親孝行のおかげで、いろんな胸のつかえがとれた」という。人の心には「胸のつかえ」、「寂しさ」があり、それを埋めるには、人の血縁のつながりが不可欠のようだ。

プロフィール

太田あきひろ

太田あきひろ(昭宏)
昭和20年10月6日、愛知県生まれ。京都大学大学院修士課程修了、元国会担当政治記者、京大時代は相撲部主将。

93年に衆議院議員当選以来、衆議院予算委・商工委・建設委・議院運営委の各理事、教育改革国民会議オブザーバー等を歴任、公明党前代表。元国土交通大臣、元水循環担当大臣。

現在、衆議院議員、党全国議員団会議議長、東京第12総支部長、首都直下地震対策本部総合本部長、現代中国研究会顧問など。

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