「草・木・花のしたたかな生存戦略」が副題。植物は、地球上のすべての動物の食糧を賄っているが、動物に食べ尽くされたら植物も動物も生きていけない。その工夫の一つが「有毒な物質を身につける」ことだ。その毒が殺菌剤にも殺虫剤にもなり、また病気を治す薬ともなる。植物のしたたかな生存戦略、人間との共生・共存が示される。
「ジャガイモによる食中毒は毎年学校で起こっている(ソラニン)」「ジャガイモの食用部分は、根ではなく、肥大した茎」「ニラにそっくりなスイセンに要注意」「人が亡くなることもあるイヌサフランの毒」「カンピョウの原材料、ユウガオで食中毒」「トリカブトとフグの毒の働きは逆で、ともに猛毒」「アジサイの葉っぱには毒がある」「ビワのタネは食べてはいけない」「スズランの茎を口に咥えてはいけない」・・・・・・。
人間以外の生き物に毒になる物質――。「ジョチュウギク(除虫菊)と渦巻き型蚊取り線香」「クスノキの葉っぱから出る香りはショウノウ(樟脳)という成分」「スギとクスノキは舟に、マキは棺に、ヒノキは宮殿に(抗菌性、耐久性、防虫性)」・・・・・・。
毒が薬になる――。「八味地黄丸は地黄(アカヤジオウの根)とともに、一部トリカブトの根の附子が使われる」「マラリアの治療薬にクソニンジン」「ヤナギの成分からアスピリン。アスピリンを鎮痛薬として継続的に飲んでいる人は、脳梗塞や心筋梗塞の発症率が低い」「長寿にもダイエットにも良いコーヒー」「心臓を守るグレープフルーツ」「花粉症を和らげる『じゃばら』『緑茶』(北山村じゃばらと宇治産のべにふうき)」・・・・・・。しかし反対に薬を無効にしてしまう植物も――。「血圧を下げる薬が効かないグレープフルーツ」「納豆とワーファリンの食べ合わせ」「キャベツもビタミンKが含まれており、ワーファリンとは反対でぶつかる」「長寿・健康の植物――ダイズ、ニンニク、オリーブ、ウコン」・・・・・・。
改めて身近な確かな知識を確認し、面白く知ることができた。