平蔵の母.jpg「本所のテツサブロウに、会わせておくれ」――。心臓発作で倒れた老女がそればかり言う。銕三郎はたしかに長谷川平蔵の幼名。与力筆頭・柳井誠一郎、同心・俵井小源太。手先を務める「清澄楼」の仲居・美於らが動くが、平蔵はそれが母親になりすました盗賊仲間による復讐劇であることを見破る。一網打尽。この「平蔵の母」を含む6つの短篇集。

「せせりの辨介」――。神楽坂の古物商「壺天楽」の主人は、かつて盗っ人の「ばってらの徳三」。その店を、色褪せた風呂敷を抱えた30前後に見える小柄な女がたずねる。その中には黒い薬師如来の立像があり、脚の部分をえぐった奥の空洞から30両もの小判が姿を現わした。裏の裏、そのまた裏をかく辮介と平蔵の戦いが始まる。

「旧恩」――。寒風が吹き荒れる日、大店のあるじとぶつかった女が、何かをすり取った。その女はすれ違った若手の同心・今永仁兵衛の顔をまじまじと見つめる。仁兵衛の手先で浅草の「矢場一」で働く可久が追うと・・・・・・。なかなかのしゃれたいい話。

「陰徳」――。浅草田原町の料理屋「鈴善」のご新造・あやのが、渡し船に乗ろうと急ぐ井原進十郎を呼び止める。その船は沈没して皆死亡し、乗りそこねた進十郎は命拾いするが・・・・・・。その裏には陰徳陽報と因果があったことを平蔵が見抜く。善意だけでない人間心理の奥の奥がのぞかれる。「深川油堀」――。恵覚寺の貞道和尚にはめられた潜竜と、賭場で知り合った「梵天の善三」による仕返し。それに可久がからむ。「かわほりお仙」――。盗っ人稼業をしていた歌吉と仙は、今は堅気。歌吉は長谷川組の手先だ。"のすりの三次"に滝野川村の正受院の山門に来いと仙は呼び出される。石神井川沿いの茂み裏側の崖に小さな洞穴。そこで仙と歌吉は三次を倒すが・・・・・・。

人間の業と悲哀、怨念と人情、事件の裏と仕掛け・・・・・・。逢坂「平蔵」の世界が滲み出る。

プロフィール

太田あきひろ

太田あきひろ(昭宏)
昭和20年10月6日、愛知県生まれ。京都大学大学院修士課程修了、元国会担当政治記者、京大時代は相撲部主将。

93年に衆議院議員当選以来、衆議院予算委・商工委・建設委・議院運営委の各理事、教育改革国民会議オブザーバー等を歴任、公明党前代表。元国土交通大臣、元水循環担当大臣。

現在、衆議院議員、党全国議員団会議議長、東京第12総支部長、首都直下地震対策本部総合本部長、現代中国研究会顧問など。

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