DXとは何か.jpg「DX」「デジタル社会」「AI・IoT・ロボット社会」――。コロナ禍で「デジタル敗戦」とまでいわれた日本だが、この"外圧"を使って新たな社会に急速に進まなければならない。台湾のオードリー・タンが一年前、マスク供給を管理システムで一気に進めたが、マイナンバーカードの普及率がいまだ20数パーセントの日本では、彼が日本の政府中枢にいたとしても同じことはできない。Eジャパンを唱え「高速インターネットの普及」「世界最高のブロードバンド国家」をめざした日本は、それができたにもかかわらずなぜ世界から遅れたのか。それは様々な意味でのオープン化とセットでなければならなかったからだ。日本人は「変えること」を恐れる。「個人情報」についても、昔ながらの守れというだけが強く、このDX社会の哲学を知っていない。「ネットを『正しく恐れる』ための一般教養をぜひ身につけてほしい」という。「意識改革からニューノーマルへ」が副題。世界に先駆けコンピュータアーキテクチャ「TRON」を構築した坂村先生が、DXやデジタル社会の意味、それを進める哲学、科学的思考の意味を示し、「DXは単なる情報化、電子化、デジタル化ではなく、意識改革であり、制度全体の改革である」と熱く語る。DXを推し進めるために必要なこと、DXを組織で成功させるための秘訣を提唱する。私自身、自分の甘さを痛感した。

「テレワークは以前からいわれていたが、企業の問題だと捉えていた。DXは社会全体を視野に入れる『やり方の根本的改革』『社会全体のDXへ』だ」「RPAはDXではない」「グーグルは、クラウドで使えるさまざまなAI機能のソースプログラムや、その機能をネット経由で簡単に試せるAPIをどんどん公開した。APIは、アプリの一部または全部を他の人に使えるようにする方法(スマホで見られるグルメサイトとグーグル地図システムの取り込みなど)」「日本の課題は閉鎖性、そろそろ"何のため"ではなく"オープンこそ正義"という"公開"姿勢に向かえ」「個人データの適切な活用ができない日本は、AI+ビッグデータ時代の大きな足かせになる」「ネット時代のパブリック――公共の為に必要に応じて個人情報を提供する"社会的責任"」「情報処理系OSと組込み系OS」「企業のオープン戦略で大事なのは、流れのイニシアチブを取るためにオープンにすべき部分と、絞り込んでココの優位性さえ確保できれば他はオープンできるかというコア資源の見極め」「オープンからアジャイルへ」・・・・・・。

「絶対安全が存在しないことは、すべての技術系の人間には当然のこと。だからこそ、絶対安全という建前を明確に捨てることが、社会をより安全に近づける。技術分野の安全哲学は大転換されている」「SDGsの17目標もあちらを立てれば、こちらが立たずの矛盾があるが、すべての目標を『程度の問題』として俯瞰する。自然科学的教養が必要だし、結果が悪くても皆で甘受するしかない――そうした諦観が民主主義の本質にある」「程度の問題の科学――正しさは確率だというベイズ主義、ベイズ哲学」「感度と特異度からPCR検査を考えると、いいことはない。"検査して隔離"を完全に行えと主張する人は、安易でわかっていない」「現在主流のAIは、"正しさは確率""すべては程度の問題"というベイズ論理学の申し子」「人工知能最大の難関、"考えすぎて"先に進めなくなる"フレーム問題"(この枠以上は考えなくていい)という判断が人間にはできてAIにできなかった」「AIとは何か――アルファ碁、AI同士の強化学習で人間に勝つ、化学式からタンパク質の三次元折り畳み形状を推測する創薬系の応用AI、ワクチン開発の飛躍的スピード、自動翻訳の日英、韓英から日韓翻訳ができた」「ベイズ主義の重要性は、程度と論理の架け橋だからだ。"正しさは確率的"で絶対的なものではないというベイズ推定の本質がAIを支えている。その『程度の問題』という諦観こそがベストエフォートに基づくシステム――社会を支える哲学だ」など、本質をズバリと説く。

「社会のDX」――。「オープンシステムはベストエフォート」「道路網はオープンなインフラの例だ」「DXによって中間層は圧縮され、すでに経済は小さくなっている。アマゾン、新聞、出版界を見れば、中間でかかっていたコストが消え、物流は変化しテレビ界も広告代理店が赤字化する。テレビを見る人は2027年に59%に下がる。YouTubeなどネットの動画視聴へ」・・・・・・。また今後は、「世代の断絶」の課題が前面に出る。ネットを「正しく恐れる」ための新時代の一般教養をぜひ身につけてほしい、という。

どうデジタル化するかの重要ポイントは「データの標準化」と「プラットホームの確立」――。「行政OSとは政府の機能を、様々なアプリケーションから利用できるAPIの集合体」「マイナンバーは国民背番号ではない。国民が行政システムを利用するためのIDだ」「行政デジタル化で個人情報の多目的利用を禁止してしまってはメリットがなくなる。むしろデジタルの力を使って行政システムを透明化し、不当利用への抑止力にするという考え方への転換が必要だ」などと言い、エストニアを例示する。そして、夢を語るのはいいが、紙もハンコも断捨離戦略――「やめる勇気をもとう」と呼びかける。コロナ対策でも給付支援でも、災害でもオンライン診療でも障碍者サポートでも行政のスリム化でも、今こそ「新しい正常」(ニューノーマル)を、と提言している。

プロフィール

太田あきひろ

太田あきひろ(昭宏)
昭和20年10月6日、愛知県生まれ。京都大学大学院修士課程修了、元国会担当政治記者、京大時代は相撲部主将。

93年に衆議院議員当選以来、衆議院予算委・商工委・建設委・議院運営委の各理事、教育改革国民会議オブザーバー等を歴任、公明党前代表。元国土交通大臣、元水循環担当大臣。

現在、衆議院議員、党全国議員団会議議長、東京第12総支部長、首都直下地震対策本部総合本部長、現代中国研究会顧問など。

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