カラスはずる賢い、ハトは頭が悪い、サメは狂暴、イルカは温厚って本当か?.jpg著者は動物行動学者。「動物行動学とは、『動物はどういう行動をするのか』『その行動にはどんな意味があるのか』『そのとき、その動物の中ではどんなことが起こっているのか』を観察し、研究する学問」「動物行動学の目を通した動物は、決して世間で思われている通りの姿をしていない。第一、動物の行動はそんなに単純ではない」「本書では『きれい』『かわいい』といった見た目の誤解、『賢い』『やさしい』といった性格の誤解、『亭主関白』『子煩悩』といった生き方の誤解について、実例から紹介したい」という。

「見た目の誤解」――。「アライグマはカワイイ見かけに反して攻撃的」「カラスは人間に嘴を突き刺すのはほとんど無理」「サメは思われているほど、大きな獲物を襲うのは上手ではない」「カモメはかわいがられるが、カモメ類はゴミ漁りの常習犯」「ハゲタカはハゲだから清潔に生きられる(大型動物の屍肉を漁るので毛は"じゃま")」「実は不潔ともいえないゴキブリ(媒介する病気は思い当たらない)」「チョウは花だけでなく糞にもとまる」「カラスは大変キレイ好きで毎日水浴びする(嘴を磨く、"カラスの行水")」・・・・・・。

「性格の誤解」――。「道具を自分で作れるカレドニアガラス」「日本のハシブトガラスは、餌を見つけると仲間を呼ぶ(フードコール)」「基本的に、動物は他人にやさしくなれない(利他的行動をしていたら生存も子どもを残すのも難しい)(集団を作るのは集団の方が楽)」「他種の子どもを育てるのは勘違い、気付いていないから」「ライオンやチンパンジーの子殺しは、子育て中のメスが発情しないから。殺せばすぐ発情する(ライオンが残したいのは自分の子孫)」「自分の子かどうかわかっていないカモ」「カッコウの托卵は信じられないほどリスキー(カッコウは自分で子育てをしない)」「ナマケモノは背中でせっせとコケを育てている(コケを自分で食べる)」「アフリカで一番ヤバイのはカバ」「コウモリは鳥が征服できなかった夜の空を手に入れた。超音波を発し、戦闘機のようなレーダー機能をもつ」「ネズミは多産ですぐ成長して繁殖できる(ネズミ算方式)。増やして食われても残っているものもいる方式」・・・・・・。

「生き方の誤解」――。「一匹狼というが、オオカミは群れる。群れるオオカミのなかで、移籍先を探している若い個体が一匹狼」「群れすぎてはぐれるペンギン」「ライオンのオスはトロフィー・ハズバンド」「オシドリは"おしどり夫婦"ではなく、メスを他のオスから守るために寄り添っている」「子どもに厳しい父カラス、子どもに甘い母カラス」「"こうやってごらん"型の人間、"トライ&エラー"型の動物」・・・・・・。

動物の生存戦略、必死に子どもを残そうとする姿が、改めて浮き彫りにされるが、人間は、どうも自分自身の行動原理を動物に投影し、勝手にイメージを作り上げているようだ。

プロフィール

太田あきひろ

太田あきひろ(昭宏)
昭和20年10月6日、愛知県生まれ。京都大学大学院修士課程修了、元国会担当政治記者、京大時代は相撲部主将。

93年に衆議院議員当選以来、衆議院予算委・商工委・建設委・議院運営委の各理事、教育改革国民会議オブザーバー等を歴任。前公明党代表、前党全国議員団会議議長、元国土交通大臣、元水循環政策担当大臣。

現在、党常任顧問。

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