30nohangeki.jpg話題を呼んだ「アーモンド」の著者だ。本書のタイトルは当初、「普通の人」だったが「1988年生まれ」というタイトルで賞を受け、今回「三十の反撃」として刊行された。まさにそのタイトルどおり、1988年生まれで30歳になっても正規社員でもないインターンのままの女性・キム・ジヘ。日本でいう就職氷河期がこの世代にあたった。特に取柄があるわけでも、優れているわけでもない「普通の人」のキム・ジヘ。「どんな大人になりたい」「今の時間をどのように記憶し、刻んでいくか」を深く考える訳ではないが、職場でも言いたいことも言えず鬱積した不満・不安を抱え、かつては同級生にひどい仕打ちを受けながら"黙って我慢"した心の傷を引きずっている「普通の人」でもある。しかしそれは韓国社会にはびこるニセモノたちや、弱者を巧妙に搾取する構造的矛盾という"巨大な壁"に、"跳ね返され"たり、"沈黙"を余儀なくされている姿でもある。

そのキム・ジヘが、新しくインターンとして入ってきた男性・ギュオクの"反撃の行動""いたずら"に触発されて、小さな「反撃」に出る。小さな"いたずら"のような「反撃」を行うこと、正しいこと、真実を言うことができるという「小さな勇気の反撃」だ。しかし、それが自分自身に変革をもたらし、成長していくことになる。我慢し、押し潰されても「沈黙」ではなく、「小さな反撃」に踏み出す勇気が、自分の人生を自覚的で確かなものにしていくのだ。沈黙ではなく行動、一人ではなく仲間がいること――そのことを駆け込み寺"ならぬ"仮空の人"のジョンジンさんが暗示する。

プロフィール

太田あきひろ

太田あきひろ(昭宏)
昭和20年10月6日、愛知県生まれ。京都大学大学院修士課程修了、元国会担当政治記者、京大時代は相撲部主将。

93年に衆議院議員当選以来、衆議院予算委・商工委・建設委・議院運営委の各理事、教育改革国民会議オブザーバー等を歴任。前公明党代表、前党全国議員団会議議長、元国土交通大臣、元水循環政策担当大臣。

現在、党常任顧問。

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