kokudo.jpg「コロナ禍で日本人は強制的な都市封鎖がなぜできないのか」「なぜ日本人は権力を嫌うのか」「なぜ日本人には長期戦略がないと言われるのか」――。それは長い歴史の中で、国土の自然条件から得た経験が日本人の生命に連綿と刻まれているからだ。それが共同体にも、社会全体にも刻まれている。日本人は欧米、中国、中東、アフリカ等々の人々とも違う。「ハンチントンは日本を独自の文明を持った国と位置づけている」「松本健一氏は泥の文明、石の文明、砂の文明の違いを鮮やかに描いた」「国旗を見ても、太陽を表す国と、太陽は忌むべき存在で月や星を描く国がある」「国歌においても敵を倒せという勇ましい歌と日本のような生命・自然の永久を歌う国もある」・・・・・・。「論語と算盤」の企業経営は、新自由主義の米型資本主義とは違うはず。大石さんは、西欧の「紛争死史観」と日本の「災害死史観」を詳説し、「国土」の視点から日本人の強みと弱さを解きあかし、「日本人の底力」「日本人の結束した時の集団の強さ」から、未来を再構築しようと訴える。

日本にはなぜかその災害が集中する時期がある。鎌倉時代の1200年代――正嘉の大地震、寛喜の大飢饉、疫病の蔓延、そして蒙古襲来。幕末は安政の頃を中心に東海と南海大地震、江戸大風水害、ペリー来航等がある。1945年前後には、東南海、三河、福井地震があり、枕崎やカスリーン台風などの風水害、そして第二次世界大戦の敗戦がある。私はコロナが2年続いている今、本当に首都直下地震、南海トラフ地震等を心配している。

歴史を動かした国土と災害・飢饉」「なぜ『日本人』は生まれたか(日本の脆弱国土の10項目)」「なぜ日本人は世界の残酷さを理解できないのか(世界の紛争・ 大虐殺と都市城壁)(フランスのカルカソンヌはなぜ5年間籠城できたのか)」「なぜ日本人は権力を嫌うのか(日本の分散した平野の小さな共同体と中国の中原を争う広域支配の大きな権力)(江戸は人口を100万抱えたが『江戸市民』はいなくて『木戸内住民』だった)」「なぜ日本人は中国人とここまで違うのか(中国人が生き延びるための血脈の団結、共同で結束する日本人)(侵略・殺戮から『考える』中国人と、災害から無常を『感じる』日本人) (理性・論理の民と情緒・感情の民)」「なぜ日本人はグローバル化の中で彷徨っているか(日本人に合わない企業統治制度)(対話ができない日本人と江藤淳の『閉ざされた言語空間』)」・・・・・・。

コロナ禍の今、大災害頻発の今、再読すべき極めて有益な書。

プロフィール

太田あきひろ

太田あきひろ(昭宏)
昭和20年10月6日、愛知県生まれ。京都大学大学院修士課程修了、元国会担当政治記者、京大時代は相撲部主将。

93年に衆議院議員当選以来、衆議院予算委・商工委・建設委・議院運営委の各理事、教育改革国民会議オブザーバー等を歴任。前公明党代表、前党全国議員団会議議長、元国土交通大臣、元水循環政策担当大臣。

現在、党常任顧問。

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