burakku.jpg今年1月発表の第166回芥川賞受賞作。雇用環境が不安定かつ劣悪化し、格差が拡大・固定化しているなかで、腹立たしい日常を送る男たち。フツーの日常が送れない焦り、怒り、むかつき、そして暴発。「うるせい」「ふざけるな」の感情の暴発によって、人生につまづく男が描かれる。

主人公のサクマ(佐久間亮介)は、自衛官や不動産の営業、コンビニ等様々な仕事をしてきたが、いずれも長続きしない。今は自転車で荷物を配達するメッセンジャーの仕事についている。交通量の激しい東京のど真ん中で危険も伴うし、当然ながら非正規で収入も不安定。我慢ならないハラスメントもある。「ちゃんと生きよう」ともするが、外れた歯車から抜け出せない。苛立ち、怒りが噴き上げるなか、税務署の調査官と警官を殴打し、刑務所に収監される。そこでもむかつく事態が起き、同房の受刑者の腕の肉を噛みちぎる。日常の閉塞感と怒りと突発的な暴力――描写は生々しい。現代社会は、鬱積する不満に対し、抗するエネルギーが乏しくなっていると思うが、サクマの噴出するエネルギーは、昔同様に悲しくもある。

プロフィール

太田あきひろ

太田あきひろ(昭宏)
昭和20年10月6日、愛知県生まれ。京都大学大学院修士課程修了、元国会担当政治記者、京大時代は相撲部主将。

93年に衆議院議員当選以来、衆議院予算委・商工委・建設委・議院運営委の各理事、教育改革国民会議オブザーバー等を歴任。前公明党代表、前党全国議員団会議議長、元国土交通大臣、元水循環政策担当大臣。

現在、党常任顧問。

太田あきひろホームページへ

カテゴリ一覧

最新記事一覧

月別アーカイブ

上へ