hennisuru.jpg日本を含めた欧米先進諸国の経済・社会は長期停滞と格差に襲われている。そのなかで、米国のバイデン政権は、過去40年にわたって支配的であった新自由主義から訣別しようとインフラ投資、研究開発投資、製造業支援、これら画期的な大型経済対策に乗り出した。その布陣を見ても財務長官をウォール街から選んできたことを変え、労働経済学者のイエレンを起用し、ウォール街の権力に批判的な人物を各要職に付けた。この「経済政策の静かなる革命」を可能にした背景には、中国のハイブリッド軍国主義という地政学的な脅威がある。経済の長期停滞、バイデン政権の「経済政策の静かなる革命」、中国のハイブリッド軍国主義の深層を洞察すると、今の「残酷な世界」が見えてくる。資本主義は時間とともに「変異」しており、その劇的な変異の実相を構造的に、かつ時間軸をもって描き出している。「富国と強兵」「世界を戦争に導くグローバリズム」「日本経済学新論」「奇跡の経済教室」などの論考を踏まえ、「変異」する世界を構造的に解き明かす。

「新自由主義に基づく経済政策(小さな政府、均衡財政・・・・・・)やグローバリゼーションが、米国の長期停滞と格差の拡大を招いた」「21世紀の戦争はハイブリッド戦(正規軍のみならず非正規軍、無差別テロ、シャープパワー、エコノミック・ステイトクラフト) (米国のリベラルな国際秩序への楽観・錯覚と中国の戦略)」「政府の積極的な財政政策、金融市場の規制等を阻止しようとする資本家階級。それに対する国家能力の強化や労働者階級の社会的パワーの増大が重要」「コロナのパンデミックと中国のハイブリッド軍国主義の台頭の構造変化によって、世界はシュンペーターのいう社会主義化(政府の経済社会への関与の強化と積極財政、公的な経済運営や経済計画の役割の相対的増大)へと変異を遂げる」「その方向を考えると、国家が高度な統治能力を有することが必要不可欠」「構造改革、規制緩和、競争の活発化、生産性向上という新自由主義的政策が長期停滞をもたらした。供給力の高まりではなく、今は需要の増大が同時に行われることが大切。デフレ脱却の時」「金融資本主義こそが長期停滞の根本要因。金融政策以上に財政政策が重要で、民間投資を減殺しないで、ばらまきではなくインフラ、技術、公共投資、医療、教育、観光などが大切」「持続可能性を欠いた金融資本主義」「失敗に終わったリベラル覇権戦略(リベラリズムの楽観論)、既に崩壊した東アジアの米中パワーバランス」・・・・・・

世界の政治家・経済学者・国際政治学者等の論争と実践を駆使した力業の著作。

プロフィール

太田あきひろ

太田あきひろ(昭宏)
昭和20年10月6日、愛知県生まれ。京都大学大学院修士課程修了、元国会担当政治記者、京大時代は相撲部主将。

93年に衆議院議員当選以来、衆議院予算委・商工委・建設委・議院運営委の各理事、教育改革国民会議オブザーバー等を歴任。前公明党代表、前党全国議員団会議議長、元国土交通大臣、元水循環政策担当大臣。

現在、党常任顧問。

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