大人の流儀.jpg この本は読んで楽しい。伊集院さんが、涙も喜びもやさしさもいっぱいため込んで、自分の気持ちのまま生きているからだろう。粋で他者にやさしい。言葉はビシッと厳しい。たとえば新成人の若者への「大人の仲間入りをする君たちへ」で8つ言っている。兄貴が愛情こめて言っているようでいい。「妻と死別した日のこと」が出てくる。生老病死の極みでとったとっさの行動、そして「人はそれぞれ事情をかかえ、平然と生きている」と結んでいる



無縁社会.jpg 「"無縁死"3万2千人の衝撃」を追ったNHKスペシャルをはじめとした取材の集大成。

 深刻な現実が水面下で進行している。社会が変質している。他人に興味を持たない社会。血縁が希薄化し、家族・親族という社会の最小単位、絆が崩れる。地域のつながりも喪失し、孤独と不安が深くしのび寄る社会。

 「無 縁死=行旅死亡人」「広がる直葬」「急増する遺体の"引き取り拒否"」「単身化の時代」「都会に移る高齢者」「共同墓」――それらは借金の連帯保証人、離 婚、病気、生涯未婚、雇用の悪化など多くのきっかけがあるし、誰にでもあることだ。もっというと「誰にも迷惑をかけたくない」という日本人の心がある。

 「つながりをつくろう」「迷惑なんかじゃない」「頼って頼られて、それでいいじゃないか」と行動を起こすなかで、「他人に興味を持たない社会」を「人、そして、"いのち"を思いやれる社会」に変えようと取材班は呼びかけている。


余震.jpg 「暴走する資本主義」(2008年)のあのロバート・ライシュの最新作。ハーバード大教授やクリントン政権の労働長官をはじめ3つの政権に仕え、現在、カリフォルニア大学バークレー校教授。オバマ大統領のアドバイザーでもある。

 近代米国資本主義の第一期(1870年?1929年)は、所得と富の集中が高まった時代であり、第二期(1947年?75年)は繁栄を広くみなで共有した時代、第三期(1980年?2010年) は、繁栄がまた富裕層に集中した時代。リーマン・ショックの激震をしのいだ今、その余震が始まったばかりである現実を直視し、第四期として、繁栄を幅広い 層で共有する時代をつくることだ。資本主義は富が集中する仕組まれたゲームであり、その暴走を止めなければならない。問題は、富裕層に富が集中している状 況を変え、中間層の購買力を増すことによって経済の好況を維持すること(米国人が自分の資力以上の生活をして不況がもたらされたのではない)。本書は大恐 慌に対してマリナー・エクルズがとった洞察に始まり、現在は中間層のための新しいニューディール政策が重要だとし、「給付つき税額控除(負の所得税)」 「炭素税」「富裕層の最高税率の引上げ」「失業対策よりも再雇用制度を」「教育バウチャーの発行」「メディアケア」などを提起する。あわせて、オバマ政権 とウォール街。政治とカネ、民衆の政治への怒り、などについて、現在のアメリカ政治と経済について率直な提言をしている。

プロフィール

太田あきひろ

太田あきひろ(昭宏)
昭和20年10月6日、愛知県生まれ。京都大学大学院修士課程修了、元国会担当政治記者、京大時代は相撲部主将。

93年に衆議院議員当選以来、衆議院予算委・商工委・建設委・議院運営委の各理事、教育改革国民会議オブザーバー等を歴任。前公明党代表、前党全国議員団会議議長、元国土交通大臣、元水循環政策担当大臣。

現在、党常任顧問。

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