平成史.jpg平成から令和の時代となった。今生きている時代がどのような時代なのか。「平成の時代にも新たな時代様相が始まっている」「新しい時代の価値観が平成以後に始まっており、また平成は大正・昭和の流れを宿命的に背負いこんでいる」・・・・・・。令和の時代を迎えるに当たり、平成という時代の深層に迫っている。

平成は冷戦終結という世界の激動のなかで始まった。「昭和とは3つのキーワードで語り尽くせる。天皇(人間天皇)、戦争(非軍事体制)、市民だ」「平成の終わりになって、この3つは少しずつ崩れ始めている」という。「平成の3つのキーワードは何か。天皇(人間天皇と戦争の清算の役)、政治(選挙制度改革と議員の劣化)、災害(天災と人災)だ」といい、その検証が行われる。

「昭和の後半から現在まで、天皇が<平和勢力>と化していることに強い安堵と信頼をもつ」「政治は平成5年、6年に大きく変わった。自社さ連立政権のおかしな虚構政治(平成の愚行たる野合劇)。小選挙区制の無理。政治(家)の劣化」「災害史観(災害によって起きる社会現象や人心の変化)(形あるものは壊れるという絶望感、情報閉鎖集団の虐殺行為、死に一直線に向かう虚無感)が、関東大震災の時も、阪神・淡路大震災の時のオウム事件でも、東日本大震災の福島の原発事故でも時代を覆う」――。災害史観が時代の深層を覆う時こそ、謙虚に向き合い、克服しようとの生きる姿勢が大切となる。生の思想・哲学であるとともに具体的な実行の持続ということだ。「歴史には人知を越えた何かが存在する」ようだ。

政治・政治家の劣化は、国会論戦でも、白か黒かのワンフレーズ・ポリティックスにも、思想と志をもつ政治家ではなく、人気・知名度に傾く選挙にも顕われ今日に至っている。生命は尊いからこそ延命を図るという昭和後期の死生観も安楽死・尊厳死を扱うという変化をみせ、大企業・大銀行も破綻する変化を見せる。"ひきこもり"や"人を殺してみたかった"という平成少年犯罪が生まれ、戦後民主主義を支えてきた人命尊重・人権尊重といった価値観や倫理観が崩れつつある。戦後が死に、戦争の教訓が引き継がれなくなってきたのだ。津波への備えもズルズル、日常のなかで思考停止に陥る"ズルズル日本"にしてはいけないのだ。加えて平成の特徴であるインターネットの普及は、従来の社会常識を崩すことになる。「平成は深刻な時代の胎動期だったと将来語られるだろう」という。

昭和20年に生まれ、平成が全て政治活動だった私として、リアルに読み、考えた。


本をどう読むか.jpg「幸せになる読書論」と副題にあるが、私自身、本が好きで良かったと思っている。哲学書などを原文で深く読み続けてきた岸見さんのように、どっしりと読んではいない。しかし、読書をしていると「思考する頭脳」「思考の粘着力」が生まれて、思考が時空を越え、本書にあるように「本を読む時に感じる喜びの感情、生命感の高揚が現実を超える力になる」のは間違いないと思う。また当然、通常では経験できない「人を識る、社会を識る、世界を識る」ことができる。「自分を知る、自身の位置を知る」ことにもなる。

「本書で私は、たくさんの本を読もうとしないこと、また何かのために本を読むのではなく、本を読むこと自体を楽しむことなど、本をどう読むかについて、これまでの人生で読んだ本を引き合いにして考えてみた」「読書は何にも代えがたい人生の喜び、楽しみである」という。


老いてこそユーモア.jpg笑いととても深い関わりを持つユーモア。"ユーモア→うまい言葉→笑い"という構造。「ユーモアはほとんどの場合、知的な言葉によって表出されるのが本筋だ。だから――楽しい言葉を探そう――これがユーモア作法であり、若い人より年齢を重ねた立場のほうが扱いやすく、向いている」「ほとんどすべての人に対して、できれば明るく生きたい人に対して、『ユーモアは、いいですよ』と私は言いたい」「表情をともなう笑いに比べて人間の心の微妙さと関わるユーモアはもっと多様で、もっと広い。教養や人生経験を反映して、それゆえに若者より年配者にこそつきづきしい。行動的であるより、ためらいに臨みながら言葉で少しく参加しよう、という現れかたなのだ」――。

「日本人とユーモア(日本人にはユーモアがないと言われるが。狂言、川柳、狂歌、落語。ショートショートの「最期のメッセージ」。清少納言等の"をかし(趣きが深いこと)"。"しゃれ")」「西洋人とユーモア(イソップ物語はユーモア。イエスのユーモア。サービス満点のシェイクスピア。風刺のきいたスウィフトの真っ黒なユーモア。ユーモアと個人主義)」――。それぞれ選りすぐりで面白い。

「同級会は基本的に今の自分の生活にとりあえず満足している人が集まってくる」「"まあ、わるくはない"人生を、その人なりに生きて、その通りわるくない、のである。――人生こんなもの――どう生きたって、そこそこに幸福な最後を迎えられれば、もって銘すべし。あえて言えば、これがユーモア人生なのだ、と私は思う」「ユーモアはけっして過大な欲を抱かない。無理をせず、ほどほどのところに満足を見い出し、少し笑い、少し悲しみ、ときに逃避し、自嘲し、心理的に自分を守りながら大きな陥穽や絶望に陥ることなく、困難の少ない人生をほどよく生きるこつ、それを知っている心なのである」「偕老同穴。老後は夫婦仲よく暮らすのが一番、なによりすばらしいのである。人生の幸福、ここにあり、だろう」「このごろの世の中、人を批判し、文句をつけることにはとても熱心だが、褒めるほうはいたってけちである。もう少し褒めてもよいではないか」――。ユーモア、教養、諦観、楽しい言葉の探訪、ささやかな余裕、日常の幸福が素直に伝わってくる。


ベトナム・アジア新論.jpg今迄、アジア各国を訪れ、日本との関係強化の仕事もしてきたが、本書を読んで各国の民族性、歴史的背景を掘り下げていなかったことに気付く。激動するアジア各国であるだけに、そこを理解しないと現実の動向を見誤ることになる。「今のベトナムとアジアを考える」「ベトナムとアジアの過去と未来」の2部に収められたブログ、解説、考察はきわめて刺激的で面白い。

「ベトナムと中国との間にある何万という拉致・人身売買事件」「韓国で相次ぐベトナム人妻の殺害事件(韓国人男性の国際結婚率の高まり)」「怒れるツングース(司馬遼太郎)と像」「1019年の刀伊の入寇と1300人拉致」「不法滞在の日中韓トライアングル」「台湾との間で拡大する留学生交流」「英誌が報じる中国"シャープパワー"脅威論」「外交における合従策と連衡策」「ベトナムモデルの南北統一を夢見る金正恩」「福建人ネットワーク」「インドの悲しい結婚事情」「中国の岳飛待望論?」「朝鮮王朝史に見る党派抗争・権謀術数」「高級海浜リゾート地に大変貌しつつあるベトナム中部のダナン」等の第一部・・・・・・。

「ベトナム戦争時、一枚岩ではなかった北ベトナム労働党」「ベトナム戦争とは何であったのか」「チョン書記長の権力強化とベトナムの中国傾斜(ズン首相の解任・引退)」「インドの超大国化を阻む三つの"闇"」「明治維新の国際的な衝撃」「米欧から見た岩倉使節団」・・・・・・。

ベトナムを中心とした激動するアジア理解の解説本。


日中の失敗の本質.jpg世界は急速に変わり続けている。世界における中国の存在感、重要性は今後さらに強くなっていく。一方、国際社会は欧州の政治的混迷やトランプ大統領登場など、不確実性を増している。世界が新しい時代に突入したことを自覚し、新しい日中大国関係の構築が迫られている。副題に「新時代の中国との付き合い方」とあるように、「中国の大国意識と日本が培ってきた自信が不協和音を奏で、それぞれの発言や行動が相手の国民感情を刺激し合う状態」を脱し、新しいステージに入ったことを自覚しての日中関係をどう構想するか――歴史と時代をうねりのなかで把え、包括的かつ鋭角的な指摘が行われている。

「われわれは歴史から何を学ぶのか」――。戦前の日本は、アメリカの保有する国力と指導力、アメリカ社会のもつ強さを見誤り、最もやってはいけない対米戦争に突入した。そして戦前の日本は、中国の民族主義の力を過小評価し、強く叩けば屈服すると誤った。日本が大局的視点に立って中国問題に当たれば、日米戦争は回避できた。加えて、戦前の日本は、第1次世界大戦に対する欧米の痛切な反省と平和への希求、新たな理念や価値観を共有することに失敗した。

「われわれは今どういう世界に住んでいるのか」――。これまでのリベラル・デモクラシー、国際経済秩序のアメリカの時代を経て、"トランプ外交"は超大国疲れであり、"アメリカの時代"の終わりの始まりなのか。今、米中貿易戦争ではなく、米中の対抗する緊張が始まった。「新しい時代においても戦後国際秩序の基本は残る」という。「習近平の"中華民族の偉大な復興""中国の夢""トラとハエ退治"」「中国外交の課題は、経済の合理性が要求する国際協調外交と、ナショナリズムが要求する国威発揚と対外強硬姿勢の間のせめぎ合いを止揚すること」「訪日中国人が日中関係を変える?」「日中関係の最も重要な変化は、日中間に軍事安全保障の新たな柱が立ったこと」「現行の国際システムから最大の利益を得てきたのが日本であり、中国だ。この国際秩序ないし、システムを維持し、発展させることが日中の共通の課題」「国民感情は簡単に移ろう。さらなる交流と相互理解が必要。米中の衝突を回避させるために動く力をもつのは日本しかない」・・・・・・。

そして「わが国が目指すべきは世界の現行秩序の根本を堅持し、世界の平和と持続可能な発展を確保するものでなくてはならない。日本外交は積極的に米中関係に関与し、・・・・・・能動的外交を展開すべきだ」「幅広い分野での協力関係、平和で安定した協力関係を構築せよ」という。

プロフィール

太田あきひろ

太田あきひろ(昭宏)
昭和20年10月6日、愛知県生まれ。京都大学大学院修士課程修了、元国会担当政治記者、京大時代は相撲部主将。

93年に衆議院議員当選以来、衆議院予算委・商工委・建設委・議院運営委の各理事、教育改革国民会議オブザーバー等を歴任、公明党前代表。前国土交通大臣、前水循環担当大臣。

現在、衆議院議員、党全国議員団会議議長、東京第12総支部長、首都直下地震対策本部総合本部長、現代中国研究会顧問など。

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