「彼はポピュリズム(大衆迎合)から遠く離れたところに毅然として立っていた。彼にとって国民は守るべき対象であると同時に、時として指導教育すべき対 象でもあったわけだ」「外交感覚のない国民は必ず凋落する」――2.26事件、迫りくる戦争と開戦阻止の闘い、ポツダム宣言受諾、緊迫した8.15前後の 日々、GHQとの抵抗と戦い、「不逞の輩」発言、火花散らす米ソ、そしてサンフランシスコ講和条約の締結。吉田茂の命をかけた日々が活写される。
敗戦の日本を背負う緊張感、そして吉田茂をかこみ断固走り抜く白洲次郎をはじめとする人々の気概が迫ってくる。