「今の若者は」「今の子供たちは」「今の教育は」というなかに、著者たちのいう青少年ネガティヴ・キャンペーンが含まれ、とくに「ニート」は「やる気のない若者」として批判の対象となっている。私自身、「今の子供は人のことも考えず、思いやりもなく、すぐ切れる」などという論には全く違和感をもってきた。
若年雇用と60代雇用、それは日本の社会のかかえるこれからの最重要課題だと思っている。
「景気の低迷」「団塊の世代が50代高賃金」「女性雇用の増加」「人件費縮減と労働力の量的柔軟化など企業の経営環境の変化」「依然として学校経由の就職が典型雇用(正規)への独占的採用ルートであること」など、本田氏の指摘する構造的要因は確かに大きい、その対応は、個人や家庭や教育にのみ還元してはならないし、ニート自体の現実把握と原因の把握が重要である。
職業的意義の高い学校教育をつくりあげることが指摘されているが、高校・大学をどう考えるか、生涯学習ををどう考えるか――考え続けている私としては「言葉のひとり歩き」「バッシング」ということ以上に学ぶこと大であった。どこまでもリアリズムに徹することが問題解決には大切だろう。