「お腹召しませ」.jpg跋記に小説はその奔放な嘘にこそ真骨頂があり、歴史学には嘘は許されぬ。「本来相容れざる文学と史学とのいわば不義の子としての歴史小説を、あえて世に問う私の覚悟」と浅田次郎は書く。また「何気なく手にした書物を、その内容いかんにかからず熟読する癖がある(夥しい折り込み広告の類も)」ともいう。面白い。
幕末から維新。激動の世相だが、武士の仕来り、掟、形式などは定形化し、そのきしみは時に「おかしく」、時に「苦しく」、時に「かなしく」現われてくる。

形式の鎧をぬいで、人間がたちあらわれるのも、世の縛りが激変のなかでゆるくなっているせいかもしれない。「日本の文化と伝統」「武士道」というと礼賛される時代の流れがあるが、本書にある260年の甲羅の奥にある人間の真実の心、日本人の生真面目で智慧があり、やさしさ、風情の心の方を観ることが大事だと私は思う。

プロフィール

太田あきひろ

太田あきひろ(昭宏)
昭和20年10月6日、愛知県生まれ。京都大学大学院修士課程修了、元国会担当政治記者、京大時代は相撲部主将。

93年に衆議院議員当選以来、衆議院予算委・商工委・建設委・議院運営委の各理事、教育改革国民会議オブザーバー等を歴任。前公明党代表、前党全国議員団会議議長、元国土交通大臣、元水循環政策担当大臣。

現在、党常任顧問。

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