オシムの言葉.jpgオシムの言葉には、ユーモアがあり、思想があり、したたかな戦略的読みがある。しかし、その底にはスラブの哀愁と多民族共存の良きサラエボが、生死をかけた戦乱の地となった悲しみが沈殿している。監督には孤独がついて回るが、オシムの独特さは、多民族国家ユーゴスラビアの崩壊と民族闘争、そして何十年前から続いている国家紛争で死線を歩いたいわば宗教的境地によってつくられたのではないのか。

「他人の評価や、メディアの賞賛に興味がない、反俗的な本質追求の人」というのは、生きてきた世界に当然、関係があろう。

「私のサラエボが戦争にあるのに、サッカーなどやっていられない」「選手を先入観で見ない。すべて平等に扱う」「サッカーの試合とは絶対一人では成立しない。君たちの人生も同じじゃないか」「休みから学ぶものはない」「重要なことはミスをして叱っても使い続けることだ。選手はミスを恐れてリスクを冒さなくなってしまう」――失点を恐れず走り回って攻め続ける「リスクを冒しても攻めろ」というオシムのサッカーは、悲しみを抱きしめて未来を切り開いたオシム氏の生き方なのか。

プロフィール

太田あきひろ

太田あきひろ(昭宏)
昭和20年10月6日、愛知県生まれ。京都大学大学院修士課程修了、元国会担当政治記者、京大時代は相撲部主将。

93年に衆議院議員当選以来、衆議院予算委・商工委・建設委・議院運営委の各理事、教育改革国民会議オブザーバー等を歴任。前公明党代表、前党全国議員団会議議長、元国土交通大臣、元水循環政策担当大臣。

現在、党常任顧問。

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