「堀川の奇跡」と呼ばれる高校改革を成功させ、京都公立高校改革の旗手といわれる荒瀬校長の著書。最近の未履修問題、教育再生会議の論議も踏まえて新しい。
まず、私にとっての京都の教育は、「ここまで勉強しない高校が日本にあるんだな」というのが、昭和39年京大入学の頃からの印象だ。その京都の教育は少なくともこの10年全くといっていいほど変わり、前進した。
もう1つ。教育基本法論議のなかで、私の考え続けたことの1つが、「高校が大事。しかし、今の高校は普通高校、工業、商業、農業高校が生きていた私たちの時代と全く違ってしまっている。高校とは何かわからなくなっている」ということだ。
本書を読んで私は教育には粘り強さ、ガマンして待つ。時間をかける。そうしたものを胸中にいだいて愛情と信頼と使命と情熱をもって成すものだということを改めて感じた。人を育てるとはそれだけ厚みのあるものだ。