下流志向.JPG中流から下流に落ちていくのではなくて、下流に向かおうとしている社会集団。「学ばない子どもたち 働かない若者たち」と副題がついているように、主題は「学びからの逃走」「労働からの逃走」である。エーリッヒ・フロムの「自由からの逃走」はあまりにもなつかしい。教育の問題が「学ぶ意欲のない子どもたち」、ニートの問題が「働く意味を問う若者」にあることを私は現場で感じてきただけに、大変ためになった。先日もハローワークを視察したが、今の若者は「真面目。そして自分はどういう職に向いているか悩んでいる。失敗することをすごく恐れている」という話を聞いた。

内田さんは、生活主体、労働主体の前に、消費主体としての自己が確立されている変化をいう。権利ではなく、「この知識は何の役に立つのか」「教育サービスの買い手」「嫌いな勉強、苦役の等価交換取引(教育は不快と教育サービスの等価交換の場)」としての教育は成り立たない。学びは市場原理ではない。しかも、学ぶ人と学ばざる人の差は、努力する動機づけの格差からも生まれる。学力低下は努力してそうしているとまでいう。孤立した人間を自立した人間ととらえてしまう誤り。いつも賃金が不当に安いと思ってしまう心象。

最後の師弟の話は興味深い。

プロフィール

太田あきひろ

太田あきひろ(昭宏)
昭和20年10月6日、愛知県生まれ。京都大学大学院修士課程修了、元国会担当政治記者、京大時代は相撲部主将。

93年に衆議院議員当選以来、衆議院予算委・商工委・建設委・議院運営委の各理事、教育改革国民会議オブザーバー等を歴任。前公明党代表、前党全国議員団会議議長、元国土交通大臣、元水循環政策担当大臣。

現在、党常任顧問。

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