
キューバ独立の使徒・ホセ・マルティの師でもあったボリーバル(1783から1830)の47年の短い生涯はしかし、波乱万丈。戦いに次ぐ戦いであったが、私欲を全く捨て去り走り抜いた生涯は美しいほどだ。皇帝に登りつめたナポレオンに彼は失望と幻滅と怒りをもっていたが、それ自体が揺るがぬボリーバルの姿勢を示している。
アンデスを越え大コロンビア共和国を築いた彼がアンゴストゥーラ憲法では、立法権、行政権、司法権に加え、「道徳権」(教育権)を設置した。日本としては珍しいボリーバル本だが、とにかく闘い、闘い、また闘いで、息苦しくなるほどだ。