地方が疲弊しているから、どう活性化するのか、という知恵を得る本ではない。高松さんはドイツのバイエルン州、フランケン地方の10万人都市、エアランゲンに住むジャーナリストだ。都市に統一感がある。10万人都市は田舎ではなく賑わいがある。景観はきわめて高い優先順位をもつ。文化の充実は目を見張る。静寂はきわめて重視される価値観である。環境立国・ドイツというが、それは結局、生活の質や歴史・文化を重視するという志向性が全てにあるからだ。
自然発生というより、都市は人工空間。中央には広場がある。人はその都市の生存・生活空間のなかでどう質の高い生活を築いていくか。
「何でも揃う小さな大都市」ということ自体、これらのことと密接な関係性がある。人材も揃っている。職住近接でもある。公共財は利便性・経済効果という切り口ではなく、自らの住む生活圏の生活の質ということから考えるということだ。
森も静寂と憩いをもたらすものだからこそ重視される。
グローバリゼーションと喧騒のなか、日本人の生活の拠点をどう獲得するのか。考えること大である。それにしても日本社会に大きな影響をもつメディアやテレビはドイツではどうなっているのだろうか。