
三河屋の喜作、杉の目利き・伊蔵、下田湊の貸元・保利蔵・・・。命をかけた男が命がけの暁朗を助ける。矜持と侠気。
「海の怖さを知ろうともせずただ命をかけると言っても、それは言葉だけのことだ」
「肝の据わった暁朗だが、心細さからは逃れられなかった。そんな心持ちでいただけに、ひとの親切・気配りを示されると、つい甘えた。獣のように研ぎ澄まされた渡世人の本能が鈍くなっていた」
「知らないことを正直に言えば、ひとは喜んで教えてくれる。が、一度でもわけ知り顔を見せると、見抜いた相手は二度と正味の付き合いをしなくなった」
「積荷を流したまま、知らぬ顔で生き続けるほどには、命根性はいやしくねえ」
「渡世人は生きるか死ぬかの境目と常に向き合っている」
――映画にしたらどうなるだろう。