
戦乱でないこんな角度の時代小説が描かれる意外性とともに、困難が降り注ぐなかでも、純粋な善い人に恵まれることがいかに幸せか、その幸せ感が伝わってくる。
命じたのは名君・保科正之。
「人が正しき術理をもって、天を知り、天意を知り、もって天下の御政道となす・・・・・・武家の手で、それが叶えられぬものか」
「どうかな算哲、そなた、その授時暦を作りし3人の才人に肩を並べ、この国に正しき天理をもたらしてはくれぬか」
「この国の老いた暦を・・・・・・斬ってくれぬか」
ちょうど本書にある会津に3日間いた時に読んだことや、明暦の大火や玉川用水、利根川の東遷などを調べていたこともあり、面白かった。2010年の本屋大賞受賞作。