グローバリゼーションのなかで、21世紀の世界の安全保障をどう考えるか。ブレア政権の外交戦略、EUの安全保障戦略の基盤となる「新リベラル帝国主義」
を提唱したロバート・クーパーは、3つのカテゴリーに分類して考える。国家としての発展度・成熟度からいって「プレ近代(国家以前のカオス)」「近代(国
民国家)」そして「ポスト近代」だ。そしてEUが常に念頭にあると思うが、「近代」に属する国民国家群が、国境線を絶対視して内政と外交を峻別する「近
代」を脱却してポスト近代的関係を構築することだという。
外交に関して5つの提言をしている。「外国の人間はわれわれとは違う(マスメディアが大衆文化を地球規模に広げても、その国の人々と生活を同じくし、同じ
空気を吸ってはじめてわかる)」「結局のところ、大事なのは内政である(外交政策は国内事項を外部へ投影、グローバル化は国内外の出来事の区別を溶解させ
る)」「外国の人間に影響を与えるのは難しい」「外交政策は利益だけのために行うものではない(アイデンティティーが利益よりも優先される)」「解決でき
ない問題が生じたら、状況を拡大せよ」――世界の歴史的事実にふれつつ、巨視的に外交の原理を示している。