荀子は孟子の生きた比較的安定した時代よりも抗争厳しき戦国時代。儒家の伝統の中に位置するが、天を重視したり、依存する思想とは異なりをみせる。天を 思慕して手をこまねいているよりは、人間的な能力、集団的組織力の発揮をも重視し、それゆえに規律・秩序たる礼義を唱える。「天人分離」の思想だ。
さらに「墨子は実用主義にとらわれて礼の装飾性を理解せず、宋子は寡欲主義にとらわれて獲得欲の効用を理解せず、慎子は法律万能主義にとらわれて賢者によ
る徳化の効用を理解せず、申子は権勢中心主義にとらわれて個人的知能の効用を理解せず、恵子は名辞主義にとらわれてものの内実を理解せず、荘子は自然主義
にとらわれて人為の効用を理解しない」(第21解蔽篇)と各思想への批判は厳しい。道というものは恒常性を基本として事象の変化に対応せよという。