20110607-book.png  災害時の人間心理に焦点をあて、避難行動の重要性・仕組み・影響を与えるヒューマン・ファクターなどを示す。そして、災害の衝撃から回復までを実例をあげ て分析し、生きのびるための条件を提示してくれる。今回の東日本大震災においても災害心理学・広瀬教授のテレビ等を通しての解説はきわめて明解。現場の実 情を踏まえてすごく納得した。
「予期せぬ異常や危険にも心は鈍感にできており(正常性バイアス)、慣性の法則に支配される」「災害や火事に巻きこ まれても、多くの人びとはかなり理性的に行動し、パニックにならない」「PTSD(心理外傷性ストレス障害)が長期にわたって被災者を苦しめる」「災害直 後には、生きのびた強烈な喜びがあり、運命共同体意識によって保持される短期間の規範がある(1?2週間)が、そのあとは日常の社会規範(弱肉強食や利己 などを含む)がとってかわる」「費用便益の考えでは防災はできない」「警報の信頼性は大切。しかし防災担当者の心すべき鉄則は、一般市民に恣意的に隠すこ となく正直であれということ」「パニック発生の頻度は多くない。むしろ"パニック神話"にとらわれるな」――。
「どんな人が生きのびるか」――洞 爺丸海難事故の押沢・渕上両先生や、被爆者の北山上葉さんの母としての生きる執念は、感動的だ。また大災害は行政だけでないマンパワー、ボランティアや NPOなしには乗り越えられないこと、災害復興といっても、災害は被災社会の効率化をもたらし、元には戻らないこと・・・・・・。示唆に富む書。

プロフィール

太田あきひろ

太田あきひろ(昭宏)
昭和20年10月6日、愛知県生まれ。京都大学大学院修士課程修了、元国会担当政治記者、京大時代は相撲部主将。

93年に衆議院議員当選以来、衆議院予算委・商工委・建設委・議院運営委の各理事、教育改革国民会議オブザーバー等を歴任。前公明党代表、前党全国議員団会議議長、元国土交通大臣、元水循環政策担当大臣。

現在、党常任顧問。

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