20110603-book.png 「私はよく、理屈は大嫌いだと言って、笑われることがある。......あるいは、この件についての御意見を、と訊かれて、たいていは言葉につまる。意 見というものを、もったことがないのである」――。理屈を言い、意見をもっていると思われた池田さんは、たしかにそうだったろう。哲学とは全てをそぎ落と した境地から始まると思う。
 東日本大震災は、生死の世界に人々を引き込んだ。「畏怖することを忘れた心を目覚ますように、異界の者たちは、折り にふれわれわれを襲うのではなかろうか」「能率的に考えることが、合理的に考えることだと思い違いをしているように思われる。......物を考えると は、物を掴んだら離さぬということだ」「言葉の意味、すなわちその内的実質というものについて、おそろしく鈍感になっている時代だと思う」「生きることは 考えること。......考えるとは、自分がまさにそれを生きているところの人為でもあり自然でもあるこの実在、この不可知の存在の何であるかを考えるこ と以外ないのだから......」「現在という価値に生きることをせず、それを解釈することに我を忘れている評論家的心情」――。
 小林秀雄と池田さんが一体となって如実知見、諸法実相の世界に迫っている。亡くなる3年前、2004年の著作。

プロフィール

太田あきひろ

太田あきひろ(昭宏)
昭和20年10月6日、愛知県生まれ。京都大学大学院修士課程修了、元国会担当政治記者、京大時代は相撲部主将。

93年に衆議院議員当選以来、衆議院予算委・商工委・建設委・議院運営委の各理事、教育改革国民会議オブザーバー等を歴任。前公明党代表、前党全国議員団会議議長、元国土交通大臣、元水循環政策担当大臣。

現在、党常任顧問。

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