
「緊縮をすべきなのは好況時であって不況時ではない」
「今は政府支出を増やすべきときで、減らすべきではない。民間セクターが経済を担って前進できるようになるまで続けるべきだ」――と。
「今は流動性の罠にはまっていて、短期金利がゼロ近いのに経済が停滞したままだから、インフレ突発にならない。FRBの購入が通常は好況やインフレを引き起こすというプロセスがショートしてしまっている」
「好況にならなければインフレは起きない。お金の印刷がインフレにつながるのは経済の過熱につながる好景気を通じてなのだ」
「デフォルトの恐れのあるギリシャ、イタリアと米国、日本は違う」
「景気刺激策があまりに小さく、支出削減を打ち出したオバマの政策は誤りだ」
「補償のみの支出増ではなく、景気刺激策を」
「2009年の米国は金融救済はしたがそれも甘く(厳しい条件をつけていない)、肝心の実体経済に対する救済策がなかった」
「規制のない金融システムが必ず起こす危険信号にもかかわらず、政治システムが規制緩和と無規制にこだわり続けた」
「格差と危機」――。
日本についても、日銀についてもふれている。10年ほど前にバーナンキが日本について指摘したことは正しい。それを今、米国は、バーナンキはなぜやろうとしないのか。なぜやれないのか。
増税や支出削減は今やることではないのだ。経済を破壊する通説にまどわされるな――訳者の山形浩生さんも、クルーグマンの主張、嘆息、諧謔をよく解説してくれている。