強靭化の思想.JPG「公共事業が日本を救う」「救国のレジリエンス」などの著書でも知られる、現在、内閣官房参与(防災・減災ニューディール政策担当)を務める気鋭の藤井さん。本書は国土強靭化、公共事業を当然書いているが、そうした現状分析や技術的データを駆使する本では全くない。表題にあるように「思想」であり哲学。文明論であり政治哲学の本であり、心理学にも論は及ぶ。副題に「強い国日本を目指して」とあり、国土強靭化のなかに貫かれているのは、日本強靭化であり、日本人強靭化だ。

時々挿話される「映画ガイド」がとてもいい。終章の「世界一タフたろうとする決意」にある村上春樹論もいい。「一身独立して一国独立す」も、まちづくりが「民俗の力」にまで及んでいい。

「諦め物語」を「希望の物語」へ。デフレは日本人の精神をも蝕み、「諦め」と「しょうがない」症候群を生んでいると思う。本来の「諦め」は東洋思想の「明らかに観る」という如実知見、諸法実相の哲学に立つべきものだ。卑俗な「ニヒリズム」と「ポピュリズム」を越える時、はじめて21世紀の日本が動くはずだし、動かしたい。気鋭の良い本。

プロフィール

太田あきひろ

太田あきひろ(昭宏)
昭和20年10月6日、愛知県生まれ。京都大学大学院修士課程修了、元国会担当政治記者、京大時代は相撲部主将。

93年に衆議院議員当選以来、衆議院予算委・商工委・建設委・議院運営委の各理事、教育改革国民会議オブザーバー等を歴任。前公明党代表、前党全国議員団会議議長、元国土交通大臣、元水循環政策担当大臣。

現在、党常任顧問。

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