
本書では、あの戦争が6カ月前に終わっていれば100万人以上の死者が助かった。「戦争終結の遅れ」「広島・長崎への原爆投下」「米軍の無差別都市爆撃」「条約違反のソ連参戦とシベリア抑留」――この4つが問題だ。しかもこれには国際法違反などがある。「靖国」と「千鳥ヶ淵」には、逮捕直前の東条英機自身の発言に始まり、合祀基準、慰霊祭、サンフランシスコ講和条約の直後の吉田内閣の「全日本無名戦没者合葬墓建設会」、それへの抵抗など、いずれも激しい論議があって現在に至っていることが示されている。歴史認識と日本人のアイデンティティを掘り下げる作業である。