「靖国、慰安婦、領土問題」と副題にある。以前の「日本の領土問題――北方四島、竹島、尖閣諸島」(保阪正康 東郷和彦)と「戦後日本が失ったもの――風景・人間・国家」(東郷和彦)の二つの著作が背景にある。「2012年は日本外交敗北の年」「左からの平和ボケと右からの平和ボケと決別を」「慰安婦問題に対する対外発信の誤り(鋭敏なアンテナの必要性)」「世界をリードする、開かれた、新しい日本文明の思想を」――など、重層的に問題を剔抉し、解決の方途を提起する。
相手が何に基づき、何を考えているか。「靖国と村山談話」「河野談話と慰安婦問題」を丁寧に解き明かす。根本的には、新しい日本の国家ビジョン、日本人と現代文明という深層から迫ることができるか否か――提起されている課題は表相ではない。