
「敗北を抱きしめて」のジョン・ダワーは「今日の諸問題に取り組むとき、私たちはいつも、第二次大戦における日本の降伏、次いで米国による対日占領、そして1951年から52年にかけてのサンフランシスコ講和および日米安保両条約に行き当たる」という。憲法、朝鮮戦争、そして領土・・・・・・。そして、両氏は「現在を理解するには、もっと長い目で物事を見る必要がある」「問題は、米中、日米、日中、日韓、日朝における緊張がどのように制御され、解決されるか、ということだ」という問題意識を共有する。ジョン・ダワーは、戦後日本を規定したサンフランシスコ体制の"負の遺産"として、「沖縄と"二つの日本"」「未解決の領土問題」「米軍基地」「再軍備」「歴史問題」など8項目を挙げ、"従属的独立"と手厳しくいう。歴史は、そうした"遺産"とそこに生ずる感情、力、経済、誇り、恥辱を含めて形成されて今をつくる。いずれにしても、大事な時にさしかかっている。