世界の平均寿命が延びている。1850年に約43歳だったものが、1900年に48歳、現在は約80歳、未来は150歳になる可能性があるという。数学、プロスポーツ、激しい肉体管理など、最高潮の時期は明らかにこの30年、50年を見ても延びている。
本書は、平均寿命がなんと150歳になった時、健康寿命もそれに伴って延びる。その時、個人や社会全体がどれだけ変化するかを追っている。総人口はどうなるか、地球環境は守られるか、家族はどう変貌するか、生活や教育はどう変わるか・・・・・・。当然、細胞操作、遺伝子操作、抗老化薬、生命工学プロジェクトをはじめとする長寿革命への挑戦にもふれている。「長寿は是か非か」の意見対立にも論及している。文献・資料は膨大なものだ。
人口減少、少子・高齢社会、地震など大災害の切迫などが大きな問題となり、この7月に「国土のグランドデザイン2050」を発表したが、150歳といわずとも、平均寿命100歳以上社会を想定して考える意味はある。
「20XX年、仕事・家族・社会はこう変わる」と副題にあるが、2000年代後半、はたして寿命100歳以上の世界が来るだろうか。本書はかなりポジティブ思考だが、必ずしもSFだとは言い切れない。