
島根県の北60キロ、隠岐諸島の中の一つの島であり町である海士(あま)町。人口2331人(2012年8月末)、65歳以上が人口の4割。しかし、この町は注目をされ、先日は官邸でも町長さんから「地域づくり」の報告を受け、私もその場にいた。2004年から11年の8年間でIターン310人、Uターンは173人に及ぶ。挑戦する島だ。
その島に2人の若者が来て、"雇用を生み出す"攻めの姿勢を貫く会社「巡の環」を起ち上げた。阿部裕志代表取締役、信岡良亮取締役だ。山内道雄町長は海士は「よそ者、若者、ばか者」によって地域に新たな力を得たという。そして2人の若者は、「上から目線ではない。彼らの気持ち、目線、人間性が、地域に抵抗なく受け入れられた」と評価する。さらに「海士町は、過疎も、少子高齢化も課題先進地であり、成功事例をつくり、今後の日本にとって何かのきっかけにしたい」と語る。
2人は「この島を愛する。この島が好き。人の努力や想い、同じく実践している人の温かさがわかる」――その喜びが込みあげ、「地域活性」などという言葉には違和感を感ずるようになったという。多くの困難と遭遇しつつも実物に、本物に、生のもの(人)に出会うこと、感動があることが生きる証である。
「僕たちは島で、未来を見ることにした」という表題が、新たな未来を感じさせる。