現場の声を大事にし、「ジャーナリズムは権力を批判するのが仕事だ」という鈴木さんが、安倍政権と政党に歯に衣着せぬ批評を展開する。フランスの哲学者ベルクソンは「問題は正しく提起されたときにそれ自体が解決である」といったが、何事も論議がまともに行われて熟度のある問題提起がされることが大切だ。そのためには視野は360度にわたることともに、三次元、四次元の論議ということだろう。
本書は「安倍政権の5大問題」「世界から見た安倍外交」「安倍政権の未来」の三章からなるが、あえて問題をぶつけようと、インコースへシュート、アウトコースへスライダーと多彩な球を投げているように思う。その厳しい攻めを受けてキチッと打つのが政権というものだろう。
「安倍総理はリアリスト」などの人物評も随所に出てくるが、鈴木さんの人間への温かさを私は感ずる。
10月29日、この日は世界の水循環、水災害を考える上で大きな一日となりました。
午後は、皇太子殿下をお迎えして行われた国連「水と衛生に関する諮問委員会」に出席して私も発言。また夜は皇居で、来日しているオランダのアレキサンダー国王を歓迎する宮中晩餐会に出席しました。国王は昨年5月までの皇太子時代、「水と衛生委員会」の第2代議長を務められ、世界の水問題解決に深く関わってきておられます。晩餐会でも、明治時代よりデ・レイケなどの土木技術者がオランダから日本に来て、我が国の河川工学に寄与した実績について、天皇陛下と国王からご発言がありました。
国連「水と衛生委員会」は各国の閣僚経験者や有識者がメンバーとなって、安全な飲み水確保など世界の水資源問題解決に向けた提言を行うためのもので、皇太子殿下が名誉総裁を務められています。この日の会議には20か国から約40人が参加。皇太子殿下のお言葉の後、私が挨拶し、「我が国は今年、水循環基本法を制定して世界に先駆けた取り組みを始めた。治水や利水の大切さを世界で共有し、健全な水循環の確保に向けて行動を起こしていきたい」と述べました。
その後の討論では、アイト議長(元ドイツ経済協力開発省副大臣)が日本の支援と貢献に感謝を表明。ハン・スンス国連事務総長特使(元韓国首相)、シンソン・フィリピン公共事業道路大臣をはじめ、オランダ、コロンビア、ブルガリアの代表者から、「世界で起きている災害の教訓を学んで備えをしていくことが大事」「水循環のガバナンスが重要」など意見表明が続きました。討論の締め括りとして私から、防災の情報を避難に結びつけることの重要性や、今年からタイムラインの取り組みを始めたことなど、我が国の防災対策の考え方と現状を説明しました。
世界の水災害や水循環の問題を共に考えるとともに、我が国の取り組みを示すいい機会となりました。
「建設業で働く女性を"けんせつ小町"に」――10月28日、建設業の現場で活躍する11名の女性が国土交通大臣室に来られました。建設業で働く女性の愛称を決定したので広めていきたいとのことです。
これまでは"ドボジョ"(土木女子)の愛称が普及していますが、土木だけでなく建築や設備、機械など幅広い職種を指す言葉として選ばれたものです。たいへん親しみやすいネーミングで、建設業界で女性が活き活きと活躍できるということをアピールできます。
私はこれまでも、建設業で働く女性たちとの対談や、女性活用のモデルケースである東京外環の建設現場視察など、取り組みを行ってきました。男の職場というイメージが強い建設業でも、女性がもっと活躍できるようにするための動きが着々と広がってきています。
女性が活躍する社会の実現に向けてしっかり取り組みます。
6本のスポーツ短編集。「連投(高校野球の神奈川予選)」「インターセプト(アメリカンフットボール)」「失投(やり投の第一人者と若きライバル)」「ペースダウン(箱根駅伝の快走後の初マラソン)」「クラッシャー(怪我に悩まされ続けたラグビーの4年生フォワード)」「右と左(もつれにもつれたプロ野球のシーズン最終戦のマウンドを誰に託するか)」――。
スポーツ選手は勝負に生きているだけに、ある部分においてきわめて神経質だ。しかも、怪我に悩まされ続ける。練習しなければ強くなれないが、怪我はより悪化するのではないかと逡巡する。過度の作られてしまった期待もある。ここで退けば1人取り残されるのではないか。さまざまな恐怖も同居する。そんななかでの攻守が入れ替わるターンオーバーの瞬間が必ず訪れる。
いずれも、あまりにも納得できる短編だが、「自分の力を誇示することしか考えていなかった。そうじゃない。ラグビーは、誰か――チームメートのためにやるものだ。味方を信じて命を預け、たった一つの目的のために心を一つにする。・・・・・・」――ラグビーをやっていた堂場さんの愛着がにじみ出ている。