
「出生前診断、生殖医療、生みの親・育ての親」と副題にある。共同通信社の連載記事の単行本化だが、「子どもを産み、育てることの意味」を現場から問いかける。晩婚化、出産年齢の高齢化、少子化社会、医療技術の飛躍的進歩、そのなかでの生命倫理、情報量の多いセンシティブ社会、社会的養護の子どもの増加、支える制度の不備・・・・・・。今、国内の体外受精で生まれた赤ちゃんの累計30万人(12年には約3万8千人)。
こうしたなかで、苦しみ、悩み、もがき、決断し、乗り越える当事者の言葉は、言葉をはるかに越えている。「子どもを産み、育てるとは」「親子とは」「親になるとは」「子になるとは」「生まれた人たちの出自を知る権利とは」「生みの親が育てられない子どもをどう育てるか」――。目の前のきわめて重い現実を突き付けている。