
たしかにこの「笑芸論」は高田さん以外は「誰も書けない」ものだろう。「森繁久彌からビートたけしまで」の戦後「笑芸史」が、紙面からあふれるほど、ものすごいスピードで四方、八方、空間狭しと飛び出している。「私のこの両目は誰よりも沢山の面白い人を見つめてきたし、私のこの両耳は誰よりも多くの笑い声を聞いてきました。その量だけが自慢です。・・・・・・」と結んでいるが、その通り。
笑いが大好きで、今も「エンタの神様」をはじめお笑い番組を録画したりする私だが、テレビ等で観てきたスターたちの生の姿にふれた本書は、きわめて面白かった。この60年を思い出したりもした。また地方から見て、当時の「東京」への感情の核にふれた思いもした。