
「新時代の社会資本整備の指針」と副題にある。冒頭には、私と冨山和彦さんの対談「見落とされてきた日本経済のエンジン」がのっている。社会資本の意義を、原点に立ち返って、経済理論から、歴史や効果から、本格的に論じている。
脆弱国土日本――大地震や台風・豪雨に加えて、インフラの老朽化が今後進んでいく。人口減少、高齢化、世界的な都市間競争が激化するうえに、エネルギー制約やICTの加速化がある。そのなかで国土と大都市・地方都市、そして国民生活をどう守り、どう創るか。国全体では財政健全化も重要。課題先進国日本のなかで、社会資本整備のあり方をどう考えるかだ。
昨今の首都高中央環状線の開通や圏央道、東九州自動車道、中国横断自動車道などの整備や開通、北陸新幹線の開業、首都圏外郭放水路の減災効果など、インフラ本来の「ストック効果」が目に見えるようになっている。経済理論、歴史、現状の情報やデータを示しつつ、フロー効果に偏らない社会資本の果たしている本来の役割「ストック効果」を提示している。