NHK朝の連続テレビ小説「あさが来た」の原案本。古川智映子さんが20数年前に書いた小説だが、「九転十起」、次から次へと襲い来る文字どおり絶体絶命の危機をはね返し、大事を成し遂げた広岡浅子の生涯はすさまじい。
京都油小路三井出水家に生まれ、17歳で大阪の両替商加島屋に嫁いだが、すでに結核。幕府からも官軍からも莫大な軍資金の調達を課せられ、大政奉還後は銀目の廃止令。そのなかで加島屋を建て直す。時代を読んで、九州の炭鉱を起こし、加島銀行、広岡商店、さらに女性の活躍する時代をこじあけるように女性教育に乗り出し、後の日本女子大を日本の政財界をかけめぐって起ち上げる。
さらに自らの命に及ぶ危機もただでは起きない。生命保険の重要性を看取して大同生命(小異を捨てて大同につく)を設立・・・・・・。癌に冒されているなか、まさに鬼気迫る人生。波乱万丈。
小説としているが、古川さんは丹念・綿密に調べあげて、この不世出の女性実業家を現代の世に送り出してくれた。