アースダイバー.jpg面白い。10年ほど前の著作だが、新鮮だ。それは私自身がこの3年弱、国土づくり・街づくりを考え続けたこと、そして年を経たこともあると思う。「東京とはどういう都市か。東京の家の裏庭を掘れば、5000年以上も前の縄文時代の遺跡が出る」「今の東京のある場所は、縄文海進期の時代、堅い土でできている高所の洪積層と水が浸入した沖積層という砂地の多い別の地層」より成る。

この洪積層と沖積層、湿った土地と乾いた土地、「ある」と「ない」、「ミサキ=岬」と「神社」、湿地のエロテシズム、死と森、天皇の森、人間の理性の力と自然の理法、坂と崖下、崖下の美しい怪物、お酉さまと日露戦争、そして銀座、上野、浅草・・・・・・。縦横に、そして深く論じている。

「下町にやってくると、あらためて東京は1つではないという思いがこみあげてくる。沖積層がつくる低地と洪積層にできた台地状の土地と、東京は二つの違う土質でできた土地、二つの違う地形、二つの違う精神文化のせめぎあいとして、発達をとげてきた」「この世界の息苦しさは、資本主義の原理が入り込んでこない隙間がどこにもないというところにある。・・・・・・自然といわず生命といわず、あらゆるところに自分の原理を浸透させていこうとする押しつけがましさが、キリスト教と資本主義と科学主義という、西欧の生んだグローバリズムの三つの武器に共通している」――。それを拒否しようとする頑固な部分が、この東京を歩くと見えてくるという。東京という都市の深層への思索は時空に広がる。

プロフィール

太田あきひろ

太田あきひろ(昭宏)
昭和20年10月6日、愛知県生まれ。京都大学大学院修士課程修了、元国会担当政治記者、京大時代は相撲部主将。

93年に衆議院議員当選以来、衆議院予算委・商工委・建設委・議院運営委の各理事、教育改革国民会議オブザーバー等を歴任。前公明党代表、前党全国議員団会議議長、元国土交通大臣、元水循環政策担当大臣。

現在、党常任顧問。

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