国宝消滅.jpg「イギリス人アナリストが警告する『文化』と『経済』の危機」と副題にある。労働人口や国内市場が縮小し、社会保障財源が厳しくなるなかで、観光立国が日本経済の重要な柱となる。話題を呼んだ「新・観光立国論」に続いての観光立国推進への第2弾が本書。

「観光立国実現のためには、国宝をはじめとする文化財が大きなハードルとなっている」「外国人観光客は、文化財観光に魅力を感じている。しかし、日本は観光戦略を重視してこなかったし、文化財が観光資源として整備されていない」「日本の文化行政は、明治以来、『優れたものを選定し、税金(補助金)を投入して手厚く守る』という考え方が根強い」「日本社会から伝統的な日本文化が消滅しつつある。観光客にお金を出してもらって文化財維持に貢献してもらうことだ」「保護ではなく、観光資源化。文化財行政の大転換が迫られている」・・・・・・。

そうした問題提起は、どんどん現実に踏み込み、具体的に矛盾や歪みを剔抉する。「建物見物から文化の実感へ」「判断するのは客」「文化財専門家の功罪」「文化財指定の"幅"が狭い」「文化財指定に観光の視点を」「安い拝観料を誰のため?一見消費者主義に見えるが、実は供給主義的考え方だ」「本当に職人はいないのか」「京漆器は日本産なのか」「補助金で支えるのは職人か社長か」「営業や情報発信の発想があまりに少ない」「職人文化を育てるためには生活保護的サポートでなく豊富な仕事量を」・・・・・・。1つ1つきわめて的確。観光立国、文化財行政の大転換の時はまさに今だ。

プロフィール

太田あきひろ

太田あきひろ(昭宏)
昭和20年10月6日、愛知県生まれ。京都大学大学院修士課程修了、元国会担当政治記者、京大時代は相撲部主将。

93年に衆議院議員当選以来、衆議院予算委・商工委・建設委・議院運営委の各理事、教育改革国民会議オブザーバー等を歴任。前公明党代表、前党全国議員団会議議長、元国土交通大臣、元水循環政策担当大臣。

現在、党常任顧問。

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