自己啓発の源流「アドラー」の教え――と副題にある。フロイト・ユングと並ぶ心理学のもう一人の巨頭・アルフレッド・アドラーの思想(アドラー心理学)を、青年と哲人の対話という形でまとめたのが本書。
「アドラー心理学は、過去の"原因"ではなく、いまの"目的"を考える」「人間の悩みは、すべて対人関係の悩みである」「われわれを苦しめる劣等感は"客観的な事実ではなく"主観的な解釈"なのだ」「承認欲求を否定せよ、他者の期待を満たすな、もっと自分本位に生きよ」「課題を分離せよ」「"あのとき殴られたから父との関係が悪くなった"というのはフロイト的な原因論発想。父との関係をよくしたくないために、殴られた記憶を持ち出していたというのがアドラー的な目的論の立場」「対人関係のゴールは"共同体感覚"」「人は"わたしは共同体にとって有益なのだ"と思えたときこそ、自らの価値を実感できる」「自己肯定ではなく、交換不能な"このわたし"をありのままに受け入れる自己受容を」「人生とは連続する刹那。"いま、ここ"を真剣に生きるべき」――。
古賀さんは、アドラー心理学を語る岸見さんにふれ、「岸見アドラー学」だという。現当二世、今ここに、自己自身に生きよ、ということだと思う。