「吉田茂 ポピュリズムに背を向けて」で、北康利さんは、吉田茂がいかに「独立国家の完成」に強い信念をもっていたかを示した。本書はその後、サンフランシスコ講和条約後を描いている。
「ポピュリズムに背を向けた男(吉田茂)とポピュリズムを上手に利用した男(鳩山一郎)。好対照の二人ではあるが、共通するのは強い信念をもっていたことである。・・・・・・ともに『独立国の完成』を目指すというものだった」「吉田茂という政治家にとって、国民は自分たちが指導して幸せにするべき対象であり、世論の動向に従って政治を進めていくなどということを、彼は微塵も考えていなかった」「岸信介の最大の政治目標は、吉田が果たせなかった対等な日米関係の構築と自主外交路線の確立にあった。まさにそれは吉田の思い描いた『独立国の完成』そのものである」――。
吉田茂、鳩山一郎、三木武吉、石橋湛山、重光葵、大野伴睦、松野鶴平、広川弘禅、緒方竹虎、岸信介、河野一郎、佐藤栄作、池田勇人・・・・・・。苦難の日本、激しい政局のなかで闘う政治家の姿が活写される。