戦争まで.jpg副題は「歴史を決めた交渉と日本の失敗」。まさに戦争に至るまで、「かつて日本は、世界から『どちらを選ぶか』と三度、問われた」として、「リットン調査団と報告書」「日独伊三国同盟」「戦争前夜である日米交渉」の三つの交渉、「選択」を浮き彫りにし、詳説する。そしてこの歴史の転換点において、問題の本質が正しいかたちで選択肢に反映されていたかを問いかける。

リットン報告書は、当時の報道でいう「中国側の主張を全面的に支持していた」ものではなく、「世界への道」を提示し、日本にも配慮したものであったこと。「その時、為政者はなにを考えていたのか」を示す。三国軍事同盟は「なぜ、ドイツも日本も急いだのか」「"バスに乗り遅れる"から結んだのではない」「日本が牽制したかったのはアメリカではなく、アジアへ回帰してくるドイツ。戦勝国ドイツを封じ、敗戦国の植民地を獲得するため」等々、分析する。日米交渉では「日米交渉の裏にある厚み」「ハル・ノートで罠にはめられた?」「駐米日本大使館員の勤務怠慢による対米通告の遅れという神話」「日本はなぜアメリカの制裁を予測できなかったか」「アメリカの失敗」などが示される。

そして、「相手国の社会の基本を成り立たせている基本的秩序=憲法にまで手を突っ込んで、書き換えるのが戦争」「戦争に賭けた日本は、何に敗けたのか」「日本が望んでいた社会の基本秩序と、アメリカが望んでいた社会の基本秩序の差違」等が示され、「GHQ憲法草案、日本側草案段階にも『平和』は、入っていなかった」ことを明らかにする。

「選択」はきわめて難しい決断であることは私自身感じていることだが、そのためには問題が正しく提起されることが重要だ。改めてそのことを感じさせてくれた本だ。

プロフィール

太田あきひろ

太田あきひろ(昭宏)
昭和20年10月6日、愛知県生まれ。京都大学大学院修士課程修了、元国会担当政治記者、京大時代は相撲部主将。

93年に衆議院議員当選以来、衆議院予算委・商工委・建設委・議院運営委の各理事、教育改革国民会議オブザーバー等を歴任。前公明党代表、前党全国議員団会議議長、元国土交通大臣、元水循環政策担当大臣。

現在、党常任顧問。

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