「終わりなき危機 君はグローバリゼーションの真実を見たか」「資本主義の終焉と歴史の危機」等々の著作に続いて、「株式会社の終焉」を示す。こうした歴史を俯瞰し今日を見た時、バブルの多発、英国のEU離脱、米国でのトランプ誕生、そして日本のマイナス金利も企業の内部留保金の積み上がりも、その潮流のあがきなのか。「現在の21世紀は、成長の積み重ねの上にあるわけではない。成長を目指せば目指すほど、21世紀の潮流とずれてしまう」「成長がすべての怪我を治すのではない」という。
「近代資本主義の"より速く、より遠く、より合理的に"を見直し、株式会社の終焉をしっかり見つめながら"よりゆっくり、より近く、より寛容に"という中世の原理に今一度立ち返ってみることが必要だ」という。GDPの三要素「技術進歩、資本量、労働量は、すでに成長に貢献していない。技術進歩が成長に寄与しなくなったのは、売上増以上に研究開発費などのコストがかかるようになってきたからだ。労働量、すなわち人口が減少するのは、家計の収入増以上に教育費がかかるようになったからだ」と指摘。労働分配率の是正と内部留保金の是正などのステップを示す。国も企業も「消費者があれもほしい、しかも早くほしい」という時代ではなくなっていることを見て、近代システムのベースとなっている思考自体を変えよ、近代はみずから反近代を生むようになったという。