ユニオンジャックの矢.jpg「パクス・ブリタニカ」といわれた英国の栄光の時代は過ぎ去り、第一次世界大戦を経て、世界の覇権は米国へと移っていった。そして経済力・産業力においても世界的地位は低下し、最近はEU離脱を巡って迷走が危惧されている。しかし、英国は「実にしたたか」であり、歴史的にも「引き際の魔術師」であった。今もその存在感、影響力は隠然たるものがある。「英国はグレートブリテン島として捉えるのではなく、そのグローバル・ネットワークの中で捉えるべきである。それがソフトパワーとネットワーク力による『ユニオンジャックの矢』だ」という。「『ユニオンジャックの矢』は『シティ』に世界各国のマネーを呼び込み、世界の開発や産業に関する情報を『シティ』に集中していく仕組みだ」「ロンドン、ドバイ、ベンガル―ル、シンガポール、シドニーと伸びる直線だ」とその構造を提示する。

さらに、英国にある「厚み」「したたかさ」がどこから生まれたかを歴史的に分析する。「デモクラシー」と「ヒューマニズム」――。「自分が圧倒的に優位だという状況で示すヒューマニズム、やさしさ、思いやり――その一方で、自分を凌駕し、否定する可能性のある存在に示す猜疑心、嫉妬心、敵愾心、・・・・・・とりわけアングロサクソンといわれるこの数百年の世界史を主導してきた人たちの思考に交錯する『抑圧的寛容』・・・・・・」「試練の時こそ、つくり上げてきたネットワーク、蓄積、資産がものをいう。民族の英知、ポテンシャルとはそういうものである」「イギリス紳士のいぶし銀のようなユーモア感覚、現実と対話しながら粘り強く回答を求めていく意思。理念に走るのではなく、ほどよく妥協していく柔軟さ、決して深刻にならず、歴史の中から身につけてきた知恵で軽妙に落としどころを見出すしなやかさ、それがイギリス人のスピリットだといえよう」・・・・・・。対欧州、対植民地、対米をはじめとし、世界史の中心として格闘してきた英国の英知とネットワークの厚みが、混迷する世界のなかでどう発揮されるか、それは日本の課題でもある。

プロフィール

太田あきひろ

太田あきひろ(昭宏)
昭和20年10月6日、愛知県生まれ。京都大学大学院修士課程修了、元国会担当政治記者、京大時代は相撲部主将。

93年に衆議院議員当選以来、衆議院予算委・商工委・建設委・議院運営委の各理事、教育改革国民会議オブザーバー等を歴任。前公明党代表、前党全国議員団会議議長、元国土交通大臣、元水循環政策担当大臣。

現在、党常任顧問。

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