明治150年――。激動の幕末、それぞれの藩に激流が襲いかかった。苦悩し、生き残りを懸命に模索した。迷走もあり、運・不運もあったが、各藩はどう判断したか。幕末を各藩の命運という角度で切り取る。立体的で実に面白く、教訓を示唆する。
並べられたのは象徴的な14の藩。薩摩藩(維新回天の偉業を成し遂げた二才(にせ)と呼ばれる薩摩の若者たち)、彦根藩(薩長の走狗となって「生き残った」幕末最大の裏切り者)、仙台藩(東北を戦渦に巻き込む判断ミスを犯した"眠れる獅子")、加賀藩(一方の道を閉ざしてしまったことで、墓穴を掘った不器用な大藩)、佐賀藩(鍋島閑叟の下、一丸となって近代化の魁となった雄藩)、庄内藩(全勝のまま終戦した奇跡の鬼玄蕃(酒井玄蕃))、請西藩(徳川家への忠節を誓い「一寸の虫にも五分の魂」を実践した林忠崇)、土佐藩(無血革命を実現しようとした「鯨海酔候」山内容堂)、長岡藩(義を旗印に苦難が待ち受けていようと筋を通した河井継之助と長岡藩士)、水戸藩(明治維新の礎となった勤王の家譜)、二本松藩(義に殉じて徹底抗戦を貫いた武士の矜持)、長州藩(新時代の扉を開いたリアリストたち)、松前藩(辺境の小藩の必死の戦い)、会津藩(幕末最大の悲劇を招いた白皙の貴公子・松平容保)――。
幕末の激震のなかでの藩としての決断や岐路についての論考。