生まれながら病弱な娘を救いたいと「あやしい宗教」にはまっていく両親。そのなかで疑問をもつことなく"フツー"に小、中学時代を過ごす娘・林ちひろ。姉は突然家を出て行き、周りから不審者扱いをされる家族だが、閉鎖空間のなかで家族の愛は変わらない。崩れもしない。そして外の世界といっても閉ざされた学校内にとどまる。
たんたんと過ぎ行く日常と友人関係は、人の心の中に入り込むことを避ける微温的社会によって成立しているが、はっきり決別する者が出てくる。家出した姉、変な信仰から離れよという叔父、言葉をしゃべらないフリをする落合の息子。
人が成長し、開放された複雑な社会に投げ出された時、閉ざされた親密な安定からどう離脱するのか。家庭の信仰から自らの信仰への飛躍、あるいは決別・・・・・・。その境界を"流れ星"を見る娘、見えない両親という形で描いたのだろうか。安定から変化を予感させる。余韻を残す作品。