未来論とは「未来がこうなる」という予言ではなく、現在の世界の変化を分析し、「未来はこうなり得る」という選択のための議論である。「『戦争と破壊』の世界終末に代わり、平和なグローバル世界の展望は確かに存在しうる」と示す。一つの軸は、2030年を目指して貧困や飢餓の解消、すべての人への水と衛生と健康の保障、ジェンダー平等、生産的で人間らしい仕事の提供等を含んだ国連の「持続可能な開発のための2030年アジェンダSDGs」だ。
世界の変化は激しく、未来を選択する「岐路」にある。「高齢化が世界を覆う――人口と食料バランスのゆくえ」「エネルギー・資源・コモンズ――争奪戦か持続可能な発展か」「近代世界システムの変容――資本主義はどこへ向かうのか(主要国の経済低迷と定常経済)(設備過剰と需要不足、経済集中と国家介入、第三の道、マネー経済学のゆくえ)」「世界ガバナンスの転換(大国覇権主義の衰退、G2・Gゼロの困難)(四つの近未来シナリオ)」「グローバリゼーションの終焉か、国家の再君臨か」・・・・・・。世界を俯瞰し、専門的知見を踏まえて総合的に整理・分析する。
今の延長上では未来は破綻する。現在の資本主義システム危機、国際・国内関係の破綻を避け、不均衡を是正することは可能なのか。「それは、個人一人一人の価値観、地域社会と市場・企業関係の再編、そして民主主義の復活と公共空間の拡充による国家の再構成を通じて可能となる」「それは、国家につきものの暴力性を軍縮の努力を通じて減らし、グローバルな平和社会への国際協力を通じて実現する性質のものである」と指し示す。