夏空白花  須賀しのぶ著.jpg

「AKB48」の良さについて、秋元康氏が「プロ野球ではなく、高校野球の魅力を狙った」と語ったことが記憶にある。まさに「夏空白花」――青い空に白いユニフォームが開会式に咲き、白球を選手が追う。青春、無心・夢中、全力、夢と希望、汗と涙・・・・・・。熱闘甲子園だ。

今年も8・15が巡り来たり、高校野球は100回の記念大会となっている。1945年8月15日の翌日、戦争で途絶えていた「全国中等学校優勝野球大会、夏の(甲子園)を復活させよう、一刻も早く。甲子園で無理なら西宮でも」と朝日新聞大阪本社に佐伯達夫が乗り込んできた。戦争終結の大混乱のさなか。日本社会がどうなるかもわからない。ボールも球場(芋をつくる畑になっていた)もない。そもそも野球どころではない。かつて野球少年、名の知れた投手であった神住匡は、京都商業の沢村栄治と戦うことを夢見たが、その後肩を壊して挫折。しかし、朝日新聞記者となっていた神住は夏の高校野球復活に動く。まさに周囲の理解は得られず、徒手空拳。なかでもGHQの壁は岩盤のようだった。

理解の源には「日本の野球」と「ベースボール」の違い、日本の「野球道」「組織を背負って真剣勝負」と米国の「自分自身が楽しむスポーツ」「余裕と自由」の差異があった。加えて「高校・大学野球の日本」と「プロ野球の米国」と、発祥時からの野球に対する社会・経済意識の相違があった。それが次第にスポーツマン同士の心が融合し・・・・・・。ついに全国中等野球大会が開かれる。その日はなんと昭和21年8月15日であった。

登場する人物は、いずれもキャラが立つ。安斎丈二もクリストファー・エヴァンス中佐も目立つが、1番は神住の妻・美子。女性は修羅場にも動ぜず、強い。

プロフィール

太田あきひろ

太田あきひろ(昭宏)
昭和20年10月6日、愛知県生まれ。京都大学大学院修士課程修了、元国会担当政治記者、京大時代は相撲部主将。

93年に衆議院議員当選以来、衆議院予算委・商工委・建設委・議院運営委の各理事、教育改革国民会議オブザーバー等を歴任。前公明党代表、前党全国議員団会議議長、元国土交通大臣、元水循環政策担当大臣。

現在、党常任顧問。

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